「南アフリカランド 22年の見通し」FX高金利通貨レポート
【2021年のランド相場】
2021年のランド/円相場は前年比約2.7%上昇。ランドは対ドルでは約7.8%下落した。通貨全体の騰落率ランキングでも下位に属しており、円ほどではなかったもののランドも「弱い通貨」のひとつであった。もっとも、1-5月は上昇率でトップに立つなど年前半は「強い通貨」だった。7-8月に最大都市ヨハネスブルグなどで起きた大規模な暴動や、11月に世界で初めて同国で発生した新型コロナ変異株「オミクロン」の衝撃などがランドの強い逆風となった。
【脆弱性は薄れつつあるものの】
かつてフラジャイル5(脆弱な5通貨)のひとつに挙げられたランド。南アフリカ共和国では、高インフレは現在でも課題だが、資源価格の上昇を追い風に経常赤字は2020年以降に黒字化しており、脆弱性はいくぶん弱まっている。ただし、昨年発生した大規模暴動からも窺えるように政治面の不安定さは否めない。ラマポーザ大統領の「改革路線」も期待したほど進んでいないのが現状だ。
総じてみれば、海外からの南アフリカへの投資が大幅に増える可能性は低そうだ(アフリカ地域に限れば数少ない有望な投資先ではあるものの)。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ対策として引き締め姿勢を強めており、ドルが上昇すればランドの下落圧力になりやすい点には注意が必要だろう。南ア中銀の利上げで「高金利通貨」としての魅力を保てるかが焦点のひとつとなりそうだ。
【ランド/円テクニカル 週足】
足元では、13週移動平均線が下向き、26週移動平均線が横ばい、52週移動平均線が上向きと、短期・中期・長期の移動平均線がマチマチの動きとなっている。これでは強い方向感を持った動きにはなりにくいだろう。当面は7円台での推移が続くと見られ、6円台に差し込めば底堅い一方、8円台に上昇すれば上値が重くなりそうだ。