「上値試しの展開を見込むが、ウクライナと先進国金融政策で乱気流も」
【メキシコペソ/円ファンダメンタルズ】
メキシコ中銀は3月2日に発表したインフレレポートで「インフレは2022年を通じて鈍化すると予想しており、2023年7-9月期には目標の3%付近に収束する」との見通しを示した。ただ、「新型コロナパンデミックの複雑な環境とロシア・ウクライナ間の紛争を考慮すると、予測軌道の修正を迫られる可能性を排除できない」として、インフレが予想以上に高進する事への警戒感を滲ませた。中銀は2月会合(政策金利を5.50%から6.0%へ引き上げ)で1-3月期のインフレ見通しを6.9%としたが、9日に発表された2月消費者物価指数(CPI)は前年比+7.3%へと加速。3月に入ってもエネルギー価格や食料品価格が高止まりしていることを踏まえると、インフレ率は中銀の見通しを上回る公算が大きい。メキシコ景気は昨年10-12月期の国内総生産(GDP)成長率がゼロとなるなど停滞気味だが、それでもメキシコ中銀は追加利上げに踏み切らざるを得ないだろう。
【メキシコペソ/円テクニカル 週足下ヒゲ陽線 上値試しの展開を示唆】
3月第1週の週足は5.3円台へと下ヒゲを伸ばした陽線引けとなった。下値の堅さを物語る足型とあって、第2週に入っても5.693円前後まで上昇するなど堅調推移が続いている。2月第4週に付けた約1年ぶり高値の5.703円前後が射程圏内に入っており、これを超えれば2年前の2月に付けた6.011円前後まで抵抗らしい抵抗が見当たらないない「真空地帯」に入る。
【メキシコペソ/円注目ポイント】
メキシコ中銀は24日に政策金利を発表する。中銀の発表前には3月前半の消費者物価指数(CPI)も発表される。前回と同じく50bp(0.5%ポイント)の利上げを行う可能性もありそうだ。ウクライナ情勢を巡る不透明感などから利上げ幅が25bpにとどまればペソは失望売りを浴びることも考えられる。しかし、中銀が利上げスタンスを維持して追加利上げを示唆する限り、ペソの下値は限られる公算が大きい。ウクライナ情勢については、ロシアとの停戦交渉に進展が見られれば、リスク選好の動きで高金利通貨のペソは買われそうだ。ただ、原油価格が大幅に反落した場合は産油国通貨のペソにも下落圧力がかかる可能性がある。16日に米連邦準備制度理事会(FRB)、17日に英中銀(BOE)、18日に日銀と、主要国で金融政策発表が相次ぐこともあって、目先的にペソ相場は不安定化しやすいと考えられる。