「平均時給は前月の修正値33.09ドルから0.09ドル増」米3月雇用統計レビュー
米労働省が2023年4月7日に発表した3月雇用統計の主な結果は、①非農業部門雇用者数23.6万人増、②失業率3.5%、③平均時給33.18ドル(前月比+0.3%、前年比+4.2%)という内容であった。
①非農業部門雇用者数
3月の非農業部門雇用者数は前月比23.6万人増と市場予想の23.0万人増を僅かに上回った。前月分は31.1万人増から32.6万人増へと上方修正された。この結果、雇用情勢の基調を判断する上で重要視される3カ月平均の増加幅は34.5万人となり、あらためて米国の雇用市場が堅調であることが確認された。
②失業率
3月の失業率は3.5%で、前月から0.1ポイント低下した。市場予想は前月から横ばいの3.6%であった。フルタイムの職を希望しながらパート就業しかできない人なども含めた広義の失業率である不完全雇用率(U-6失業率)も、前月の6.8%から6.7%へと低下した。労働力人口に占める働く意欲を持つ人の割合である労働参加率は前月の62.5%から2020年3月以来の62.6%に上昇。労働市場に復帰する人が増えた点は、人手不足が解消に向かう兆しと考えられる。
③平均時給
3月の平均時給は33.18ドルと前月の修正値33.09ドルから0.09ドル増加した。伸び率は前月比+0.3%、前年比+4.2%であった。市場予想は前月比+0.3%、前年比+4.3%だった。前年比の伸び率は2021年6月以来の低さとなっており、賃金インフレ圧力は和らぎつつあるようだ。
④総括
米国の景気後退を巡る懸念がくすぶる中で発表された米3月雇用統計は、①非農業部門雇用者数が予想を上回る伸びを記録。②労働参加率の上昇にもかかわらず失業率は予想を下回って改善。③平均時給の伸びは前年比で予想以上に鈍化した。米3月雇用統計の発表を受けて、景気後退懸念が和らぎインフレ懸念が緩和したことから、米経済がハードランディング(軟着陸)を避けられるとの期待が広がった。そうした中、米長期金利が上昇するとともにドルが強含んだ(米株市場はイースター前のグッドフライデーで休場)。なお、市場は米連邦準備制度理事会(FRB)が5月会合で今局面における最後の利上げを行ない、政策金利(FFレート)は5.00-5.25%でピークを打つとの見方を強めている。これは、FRBが3月会合で示した見通しと一致する。今後は、FRBが利下げに転じる時期が焦点になりそうだ。こちらについては、早ければ7月にも利下げが開始されると見込む市場と、少なくとも年内の利下げはないとの見通しを示すFRBの間に依然として齟齬が見られる。