研究員レポート

「失業率は3.4%、平均時給は33.03ドルで過去最高を更新」米1月雇用統計レビュー

米労働省が2023年2月3日に発表した1月雇用統計の主な結果は、①非農業部門雇用者数51.7万人増、②失業率3.4%、③平均時給33.03ドル(前月比+0.3%、前年比+4.4%)という内容であった。

①非農業部門雇用者数

1月の非農業部門雇用者数は前月比51.7万人増と市場予想の18.8万人増を大幅に上回った。前月分は22.3万人増から26.0万人増へと上方修正された。基調を判断する上で重要視される3カ月平均の増加幅は35.6万人で、前月の29.1万人を上回り、6カ月ぶりに増加に転じた。

②失業率
1月の失業率は前月から0.1ポイント低下して3.4%となり、1969年5月以来およそ54年ぶりの低水準を記録した。市場は3.6%への上昇を予想していた。ただ、フルタイムの職を希望しながらパート就業しかできない人なども含めた広義の失業率である不完全雇用率(U-6失業率)は、前月の6.5%から6.6%へと上昇した。一方で、労働力人口に占める働く意欲を持つ人の割合である労働参加率は62.4%で、予想および前月の62.3%を上回った。

③平均時給
1月の平均時給は33.03ドルと前月の修正値32.93ドルから0.10ドル増加した。前月比の伸び率は+0.3%で予想通りだったが、前年比では+4.4%と市場予想(+4.3%)をやや上回った。もっとも、前年比の伸び率は2021年8月以来の水準に鈍化しており、賃金上昇ペースが落ち着きつつある流れは継続した。

④まとめ

米1月雇用統計は、①非農業部門雇用者数が予想の3倍近い伸びとなり、②失業率は54年ぶりの水準に改善、③平均時給は伸びが鈍化しつつあるものの前年比では予想を上回った。米国の雇用情勢は市場が想定していたよりも堅調であることが確認された格好で、米1月雇用統計の発表後に米債が下落(利回りは上昇)し、ドルが上昇した。市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)が3月にも利上げを停止するとの観測が大きく後退。利上げは5月まで続き、政策金利であるFF金利の誘導目標は5.00-5.25%まで引き上げられるとの見方が優勢となった。