「リラ安圧力再燃を警戒」FX高金利通貨レポート
【トルコリラのファンダメンタルズ 当局の資金流出抑制策も効果薄でリラ安継続】
5月5日に発表されたトルコ4月消費者物価指数(CPI)は前年比+69.97%に加速。インフレ率の上昇で「実質金利」のマイナス幅はさらに拡大した。16日に発表されたトルコ4月経常収支は55.5億ドルの赤字で、5カ月連続の赤字となった。トルコ政府は国内資金の流出抑制に向けて様々な対策を講じているが、肝心の海外資金の流入は細ったままだ。そうした中、足元では緩やかなペースでのリラ安が進行している。ドル/リラは18日に15.9717リラ前後までドル高・リラ安が進み、昨年12月以来の1ドル=16.00リラが視野に入ってきた。ドル/円の上昇が一服した9日以降はリラ/円も下落基調となり、19日の取引開始直後には1リラ=7.919円前後までリラ安・円高に振れる場面もあった。激しいインフレにもかかわらず、大統領の意向でトルコ中銀が金融引き締めに動かない点を市場は引き続き不安視している。
【トルコリラ/円テクニカル 下値圧力の再燃を警戒】
3月以降の円全面安の影響で一時26週移動平均線を上抜いたが、円安の勢いが鈍ると再び同移動平均線を割り込んだ。右下がりからほぼ横ばいに転じていた13週移動平均線も割り込んでおり、下落圧力が再燃しそうなチャートフェースとなっている。8円割れでは下げ渋る動きも見られるが、26週移動平均線を明確に上抜けできない限り、下値不安がくすぶり続けよう。2月と3月にそれぞれ下げ止まった7.6円台が下値メドとして意識されそうだ。
【トルコリラ当面の注目材料 中銀会合、株価動向】
26日にトルコ中銀の金融政策決定会合が予定されている。市場には、インフレ抑制には利上げが必要との見方が多い一方、今回もトルコ中銀は利上げを見送るとの見方が大勢。中銀がインフレ鈍化の見通しを示しても、中銀に対する市場の信頼が揺らいでいるだけにリラが反発する公算は小さいだろう。また、足元では世界景気の減速が懸念されており、主要国の株価が軟調している。いわゆるリスク回避の局面であり、リラをはじめとする新興国通貨には逆風が吹きやすい市場環境であろう。