「トルコリラに対する下値不安は、当面くすぶり続ける」FX高金利通貨レポート
先週(8月9日~13日)のトルコリラ相場は底堅く推移した。
トルコでは、7月末に南部で相次いだ大規模な山火事がようやく沈静化したばかりだが、11日には北部で豪雨・洪水が発生しており大きな被害が出ている模様。トルコにとって書き入れ時である夏季休暇シーズンに自然災害が集中した格好で、経済への影響が懸念されている。
黒海地方の洪水の死者が62人に-TRT
https://www.trt.net.tr/japanese/toruko/2021/08/15/hei-hai-di-fang-nohong-shui-nosi-zhe-ga62ren-ni-1691479
そうした中にもかかわらず、リラは底堅い相場展開が続き、リラ/円は週明けも12円台後半で推移している。トルコ中銀が、12日の会合で政策金利を19.00%に据え置いた上で、「強力なインフレ押し下げ効果を維持するために、政策金利は引き続きインフレ率を上回る水準に設定される」などと表明した事から、早期利下げ観測がいくぶん後退したと見られる。
ただ、トルコの7月インフレ率は18.95%と、政策金利とほぼ同水準に上昇しており、8月にも政策金利を上回る水準に伸びが加速する可能性がある。仮にそうした状況になった場合、トルコ中銀が声明通りに利上げできるかは極めて不透明だろう。エルドアン・トルコ大統領は、市場の常識とは真逆の「金利を下げればインフレも下がる」との考えの持ち主だ。中銀総裁の人事権をも握る強権大統領の利下げ要求に逆らう形で、トルコ中銀が利上げに動くとの期待は高まりにくいと考えられる。トルコリラに対する下値不安は、当面くすぶり続ける事になりそうだ。なお、トルコ8月消費者物価指数は9月3日に発表される。また、次回のトルコ中銀金融政策決定会合は9月23日に行われる。