「下値探査の再開を警戒 ウクライナ情勢に注意」FX高金利通貨レポート
【トルコリラのファンダメンタルズ 実質金利マイナス幅拡大 当局はリラ防衛を強化】
2月3日に発表されたトルコ1月消費者物価指数(CPI)は前年比+48.69%と前月から12%ポイントを超える大幅な加速となった。インフレ率の上昇で「実質金利」のマイナス幅はさらに拡大する事になったが、リラにネガティブな反応は見られなかった。8日にはネバティ・トルコ財務相がロンドンで投資家や銀行関係者らと会合を開き、自国の経済政策を説明した。為替レートの安定を維持し、インフレ率を1ケタ台に低下させるとともに、ドル化を抑制する方針を強調した模様。また、2500-3500億ドル規模と推定される家計保有の金をリラに交換するよう促す新制度をまもなく発表する方針を示したという。つまるところ、トルコは利上げを行う事なく通貨安を止める事でインフレの押し下げを図る方針だ。足元のリラ相場の不気味なほどの小動きは、トルコ当局のリラ買い介入によるものと思われる。市場には1ドル=14.00リラが当局の防衛ラインとの見方もある。
【トルコリラ/円テクニカル 下値探査の再開を警戒】
2022年に入り、相場は小康状態にあるが依然として13週移動平均線、26週移動平均線、52週をいずれも下回る水準で推移。各移動平均線が揃って右下がりの「逆パーフェクト・オーダー」の状態が続いている。相場は引き続き下落トレンドの中にあると判断できる。少なくとも13週移動平均線を上抜く(13週線が現値を下抜く)までは、下値探査の動きが再開する展開を警戒すべきだろう。
【トルコリラ当面の注目材料 中銀会合、ウクライナ情勢】
17日にトルコ中銀の金融政策決定会合が予定されている。中銀は昨年12月会合で利下げ打ち止めをほのめかしたが、エルドアン大統領はさらなる利下げに言及している。今回も利上げは望めず、政策金利は14.00%に据え置かれる公算が大きい。予想外の利下げがない限り、リラ相場への影響は小さいのではないか。ただし、ウクライナ情勢の悪化はリラ/円の押し下げ要因になり得るため注意が必要だろう。偶発的にせよウクライナで軍事衝突が起きれば原油価格の急騰とともに株価の急落が予想される。原油高は資源輸入国通貨であるトルコリラの逆風となる一方、株安による市場心理の悪化は円の追い風となる可能性が高い。