研究員レポート

「ランド高に一巡感 円安進行が上昇のカギに」FX高金利通貨レポート

【ランド/円ファンダメンタルズ 資源高と利上げ期待のランド買い一巡 対ドルでは調整気味】
3月23日に発表された南アフリカの2月消費者物価指数(CPI)は前年比+5.7%となり、伸び率は1月と同じだった。翌24日、南ア中銀(SARB)は3月会合で政策金利を4.00%から4.25%へ引き上げた。SARBは2024年にかけて利上げを継続する見通しを示すなど、引き締めに前向きと見られる。ただし、29日発表の10-12月失業率は2008年以降で最悪の35.3%に上昇した。インフレ高止まりも相まって景気回復期待に水を差す結果となった。こうした中、資源高と利上げ期待で買い優勢の展開が続いていたランドの対ドル相場は上昇が一服。4月に入りやや調整気味にドル高・ランド安方向へと動いている。一方、対円では4月以降も円安主導で底堅く推移。11日の東京市場では2週間ぶりに8.554円前後まで上昇する場面もあった。


【ランド/円テクニカル 上ヒゲ攻略とG・C示現が焦点】
3月28日に8.619円前後まで上伸して6年9カ月ぶり高値を付けたが、この週は長い上ヒゲが目立つ十字線引けとなった。4月に入り8.5円台を回復しているものの、上ヒゲの先端にあたる8.619円前後を超えないことには上昇期待は高まりにくい。他方、週足移動平均線がいずれも上向きで、このままいけば26週線が52週線を上抜くゴールデン・クロス(G・C)の示現が近い。8.619円越えとG・Cが揃えば2018年4月以来の9円台も見えてこよう。

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【ランド/円注目ポイント 円安度合 3月CPI】
米連邦準備制度理事会(FRB)による引締め加速観測から、対ドルでのランド高に一巡感が出ているだけに、円安の進行度合いが注目される。日銀は他の海外中銀と一線を画す金融緩和スタンスを維持しており、内外金利差拡大の思惑から円が売られやすい地合いにある。円全面安の流れが継続するかが、ランド/円相場のカギを握りそうだ。そのほか、4月20日には南ア3月消費者物価指数が発表される。5月19日の次回SARB会合まで間があるため材料視しにくい面はあろうが、大幅に上ブレすればランド買い要因になりそうだ。