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FRB、ECB、BOJ 真夏の中銀イベントを終えて(きょうのひとこと 7/29土 特別版 )

きょうは7月29日土曜日。26日の米連邦準備制度理事会(FRB)、27日の欧州中銀(ECB)、28日の日銀(BOJ)と続いた真夏の中銀イベントに激しく振り回された1週間がようやく終わりました。特にBOJについては、ある程度覚悟していたとはいえドル円相場が3円超の値幅で乱高下するなど、市場が激しく揺さぶられることになりました。投資家の皆さんもさぞやお疲れのことと思います。激動の中銀ウイークに関して、自身のアタマをいま一度整理する必要があると思い立ち、きょうのひとことの特別版としてブログに書き残しておくことにしました。まずは、時系列に沿って26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)から振り返ってみましょう。

7月26日 FOMC
FRBは25-26日に開いたFOMCで、政策金利であるFFレートを25bp(0.25%ポイント)引き上げ、22年ぶりの高水準となる5.25-5.50%とした。声明では、「インフレ率を時間とともに2%に戻すために適切となり得る追加的な金融政策の引き締めの程度を決めるに当たり、委員会は金融政策の度重なる引き締め、金融政策が経済活動とインフレ率に及ぼす影響の遅効性、経済や金融の情勢を考慮する」と、前回と全く同じ文言を使い追加利上げに含みを残した。25bp利上げは完全に織り込み済みであったことから市場の反応は限定的だった。パウエルFRB議長はその後の会見で「将来の利上げについてはデータを重視したアプローチをとる」として「1会合おきに利上げするとの決定はない」と発言。その上で「データが正当化すれば次回9月会合で再び利上げする可能性は当然あると言えよう。そして同会合で据え置きを選択する可能性もあると言っておく」などとして今後の政策金利の道筋について明言を避けた。市場はこれを、パウエル議長が追加利上げを明確に示唆しなかったと受け止めた模様で、長期金利が低下するとともにドルが下落した。

7月27日 ECB
ECBは主要政策金利を予想通りに4.00%から4.25%へ引き上げた。声明では「金利はインフレ率を2%の中期目標に適時に戻すために必要な限り、十分に制限的な水準に設定されることになる」とした。ただ、前回の声明では「金利をインフレ率を十分に低下させる水準に迅速に持っていく必要がある」としていたことから、市場はECBの引き締め姿勢が弱まったと受け止めた。その後、ラガルドECB総裁が「サービス業の勢いは減速し、製造業も弱い外需によって抑制されている」と域内景気に対する弱気な見方を示した上で、「9月以降の決定についてはオープンな姿勢で臨む」として据え置きもあり得るとの見解を示すとユーロ売りが加速した。ユーロ安の裏側でドルは上昇。

BOJを前にYCCを巡る観測報道飛び交う
大トリを務めたBOJに行く前に、事前に飛び交った観測報道にも振れておかねばなりません。まずは、21日にブルームバーグが「日銀は現時点でYCC副作用に対応の緊急性乏しいと認識」、ロイターが「日銀、金融政策維持の公算 YCC変動幅据え置きの可能性」と相次いで報じたことから、市場は日銀の現状維持を織り込みつつありました。ところが27日、日本経済新聞が深夜の電子版で「日銀はイールドカーブ・コントロール(YCC)の修正案を議論」と報じたことで状況が一変。市場は急いで日銀のYCC修正に備えることになりました。

7月28日 BOJ
日銀はイールドカーブ・コントロール(YCC)の運用を柔軟化すると発表。声明で「経済・物価を巡る不確実性がきわめて高いことに鑑みると、YCCの運用を柔軟化し、上下双方向のリスクに機動的に対応していくことで、この枠組みによる金融緩和の持続性を高めることが適当である」と説明した。短期金利-0.1%、長期金利(10年債利回り)0.0%のターゲットは維持しつつも、長期金利の変動幅については「±0.5%程度」を目途として「より柔軟に運用する」と表明。これまで10年債利回りの上昇を抑えるために0.5%で実施していた無制限指値オペの金利を1.0%に引き上げた。その後の記者会見で植田総裁は「金融政策の正常化へ歩み出すという動きではなく、YCCの持続性を高める動き」と説明。緩和の縮小ではなく、市場機能低下などの副作用を減じる措置だと強調した。日銀が大規模金融緩和の柱としてきたYCC修正に動いたことで円買いが強まった半面、YCC柔軟化は「微修正」に過ぎず金融緩和の持続性を高める措置との見方から円売りも入った。

28日海外市場のドル円相場
中銀イベントを全て消化した28日の欧米市場ではドル円が大きく反発しました。日銀のYCC柔軟化発表直後には一時138.07円(前日比▼1.48円)まで下落していましたが、欧州市場で140円台を回復。その後も押しを作りつつ上値を切り上げ、NY市場ではクローズ間際に141.18円まで上昇(前日比△1.63円)しました。結局、26日のFOMC前の水準に値位置を戻して今週の取引を終えており、3日がかりの壮大な「往って来い」を演じた格好です。