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南アランド/円 8.0~8.2円台のレンジ相場へ

中国景気不安でランドの戻り一服
南アフリカランド/円は、今月3日に付けた5カ月ぶり安値7.798円前後から切り返すと、11日には8.258円前後まで反発して7月5日以来の高値を付けた。しかし、中国7月鉱工業生産と同小売売上高が揃って予想を下回った15日には一時8.087円前後へと反落するなど、戻り一服となった。南アフリカと経済的に関係が深い中国の景気後退(リセッション)懸念がランドの上値を抑えているようだ。週足チャートを見ると、7月31日週の下ヒゲ陽線でダブルトップのネックライン下抜けが「ダマシ」に終わったことがわかる。8月7日週は前週の下ヒゲ陽線の余勢で8.2円台へ上昇したものの、13週移動平均線に上値を抑えられたことから、今週は早々に反落にしたと見られる。

冴えない南ア経済
8月に入り発表された南ア経済指標では、6月の製造業生産が前年比-3.5%に低下したほか、6月のプラチナ生産量は前年比-9.8%に落ち込んだ。6月の発電量も前年比-4.0%と減少が続き、電力不足には改善の兆しが見えない。そうした冴えない経済状況を踏まえると、ランド相場がこの先大幅に上昇することは考えにくい。

それでもインフレは高水準
南アフリカのインフレ率は高水準で推移しており、来週24日に発表される7月消費者物価指数(CPI)も上振れするようなら、南ア中銀が9月も75bpの大幅追加利上げを行なうとの観測が強まる可能性もある。しかし、大幅利上げがリセッション圧力を強めかねない経済状況を考えるとランド相場の買い材料にはなりにくいのではないだろうか。金利面での優位性(南アの政策金利は5.50%)から大幅なランド安に傾くこともないと見られ、当面のランド/円相場は8.0円台から8.2円台でのレンジ相場が続きそうだ。